あの家に暮らす四人の女 三浦しをん

「あーーーー疲れた!!」
そんなときはこの作品がおすすめです。
母娘二人と娘の友達二人、離れに住む謎多きおじさん。さらにカラスや河童、訳ありお父さんまでも登場。次々と巻き起こるどたばた事件の中、なぜかゆっくりとした時間を感じさせるほっこりとしたホームコメディテイストの物語です。

この作品は谷崎潤一郎さんの細雪が土台となっているそうです。感の良い人なら登場人物の名前を聞いただけでなるほどとなるでしょう。 純文学の名作が土台というと古風な印象をうけますが、見事に三浦しをんワールド満載の現代小説に仕上がっています。もちろん細雪を知らない方でも存分に楽しめる作品です。

奇想天外な事件や恋心等盛りだくさんの内容ですが、物語の芯は「人と人」ではないかと。母娘以外は血縁関係のない同居人、だからこその人間関係。人がそばにいてくれるありがたさ、もしくは面倒な部分がとってもポップに描かれています。
家族や友達でも疎遠になってしまうことがある現代社会ですが、「人と人とのつながりとは」の数ある答えの中の一つを優しくゆっくりと教えていただきました。

個人的おすすめポイントは、離れに住む真面目実直なのに頼りなく、どこか寂しいそうでもある山田さん。山田さんの活躍シーンはおもわず笑ってしまうこと間違いなし。電車の中や公共の場所ではお気をつけて。

心が疲れたときの栄養満点ドリンク的なすばらしい作品でした。

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